虫歯の細菌

  1. なぜ虫歯ができるの?
  2. 歯に付着することができるミュータンス菌
  3. 虫歯を進行させるラクトバチラス菌
  4. 生まれたときは菌がいない!?
  5. 虫歯リスクの検査をしてみませんか?

なぜ虫歯ができるの?

甘い物を食べると虫歯になるから気をつけるように言われますが、なぜ甘い物を食べると虫歯になるのでしょうか。
それは、食べかすなどの塊の中にいる虫歯菌が糖をえさにして酸を出し、それによって歯が溶け、虫歯になるからです。

虫歯は「歯の質」、「糖分」、「細菌」の3つの要素に、時間が加わることで発生します。これらの3つの要素が重なる時間が短ければ虫歯になるリスクは低く、逆に長いと虫歯になるリスクが高くなります。

「歯の質」とは、虫歯になりやすい歯かどうかという視点からみた質のことで、個人差があります。歯の質を強くするためには、フッ素を塗ったり、よく噛んで唾液がたくさん出るようにしたりすると良いでしょう。
「糖分」は、だらだら食べや間食が多いとお口の中が酸性に傾きます。せんべいなどの糖分が少ないおやつに変えたり、時間を決めて間食したりすると良いでしょう。
「細菌」は、お口の中の菌の塊である歯垢(プラーク)に含まれる虫歯菌です。歯科医院での定期的なメンテナンスで歯垢を取り除きましょう。


お口の中はもともとpH6.8前後の中性に保たれていますが、糖分を口にすると細菌が糖を分解して酸を作り出すため、お口の中が酸性に傾きます。
pH5.5以下の酸性状態が続くと、歯のエナメル質の成分が酸で溶かされます。これを脱灰といい、虫歯ができ始めます。

何も食べていないときには、唾液の働きで酸性から中性に戻り、脱灰した部分を修復する歯の再石灰化が起こるため、虫歯になりにくいです。

このことから、長時間お口の中にある飴は、虫歯のリスクが高いということが分かります。糖がお口の中に残らないように、おやつを食べたら歯磨きをしたり、歯磨きまではできなくても水を飲んだりうがいをしたりして口の中を洗い流すと良いでしょう。


虫歯ができる3つの要素が分かったところで「細菌」について、より詳しく説明します。

まず、みなさんのお口の中には、どのくらいの菌がいるかご存じでしょうか。よく歯を磨く人でも1000億~2000億の細菌が存在しており、驚くことにこの数は、便に存在する菌の数よりも多いともいわれています。

種類としては300~700もの細菌がいるといわれています。その中でも虫歯菌として有名な菌は主にミュータンス菌、ラクトバチラス菌の2種類です。


どうして虫歯はできる?

歯に付着することができるミュータンス菌

ミュータンス菌は、正式名称をストレプトコッカス・ミュータンスという約1㎛の球状の非常に小さな菌で、お口の中で菌がつながって増えていく、連鎖球菌という種類です。

ミュータンス菌は糖をえさにして、ネバネバした「グルカン」という粘着性物質を作り、歯の表面に付着します。その力は非常に強力で、水では簡単に洗い流すことができません。そして歯にくっついたまま別の細菌なども合体して大きくなり、歯垢となります。このようにして歯に長時間付着した菌が、糖を食べるときに酸を出し、歯が溶けてしまうことで虫歯ができます。

ミュータンス菌以外の細菌はツルツルした歯の表面に付着することが難しいですが、ミュータンス菌は歯に付着する力があるため、虫歯ができる大きな原因となっています。

また、たくさん糖があるときに自分の体内に糖を蓄えることができ、糖が少ない環境に変化したときでも、自分の体内の糖を分解して酸を作ることができるという特徴もあります。
糖がある環境でのみ酸を作るのではなく、体内に糖を蓄えられてまで酸を作ることができるところからも、ほかの細菌と比べても酸を作る能力が非常に高いことがわかります。酸を作り続けるとお口の中はどんどん酸性になります。この状態だとほかの細菌は酸を作る能力が弱まりますが、ミュータンス菌はその中でも弱ることなく、酸を出し続けることができます。

残念なことに、一度感染したミュータンス菌は、完全に除去することができません。
ただし、0にすることは難しいですが、減らすことはできます。ミュータンス菌の弱点は「キシリトール」です。
キシリトールガムを噛むことで、ミュータンス菌の量を効果的に減らすことができます。

また、「フッ素」もミュータンス菌の活動を抑える効果があります。
酸を作ることを抑制したり、再石灰化を促進したりする効果があるので、ミュータンス菌による虫歯予防にはフッ素入りの歯磨き粉を使用したり、フッ素を塗布したりすることがおすすめです。
歯科医院では、市販品よりも高濃度のフッ素を塗布することができます。

虫歯の予防

虫歯を進行させるラクトバチラス菌

ラクトバチラス菌は、棒状の桿菌(円筒状の細菌)で乳酸菌の一種です。
虫歯菌として有名ですが、実はラクトバチラス菌自体が直接虫歯を作るわけではありません。それなのになぜ虫歯菌と呼ばれるのか。それは、ミュータンス菌などが作った虫歯を進行させる働きがあるからです。

ラクトバチラス菌は、ツルツルした歯の表面に付着することはできないので、ミュータンス菌によって作られた虫歯のザラザラした部分や奥歯の歯の溝、詰め物や被せ物の適合が悪く隙間が空いている場所などに生息しています。

虫歯菌なので悪いイメージのラクトバチラス菌ですが、乳酸菌の一種ということもあり、腸の調子を整えるなどの良い働きもするので、乳酸菌飲料に含まれていることがよくあります。小腸で食物の分解を促進したり、栄養素の吸収率を高めたりしてくれます。


ラクトバチラス菌は腸に良いといっても、虫歯にはなりたくないので、お口の中からはラクトバチラス菌を減らしたいですよね。
そのためには、ラクトバチラス菌の住処をなくすことに注目しましょう。

まず、歯磨きをしましょう。虫歯予防の基本ともいえるので、当たり前のことと感じるかもしれませんが、歯磨きをすることにより、住処である歯垢を除去してラクトバチラス菌を減らすことができます。ほかの方法には、シーラントが挙げられます。これは、奥歯の噛む面の溝が深い部分を埋める方法です。

深い溝などもラクトバチラス菌の住処になりやすいです。この方法は歯科医院ですぐに処置してもらえるので、相談してみましょう。また、虫歯ができている場合はすぐに治療したり、詰め物が古い場合は新しくやり替えたりすることも効果的です。
虫歯を放っておくと進行してしまうので、虫歯がある場合は早めに治療しましょう。加えて、過去に治療をした詰め物や被せ物が古いとそこに隙間ができてしまい、ラクトバチラス菌の住処となる場合があります。再度修復することで隙間をなくすようにしましょう。

前述したように、ラクトバチラス菌は、自分の力で歯に付着することができないため、歯垢やでこぼこした部分を取り除けば、住処がなくなり、お口の中からかなり減ることが予測できます。

生まれたときは菌がいない!?

実は、生まれてすぐの赤ちゃんは、お口の中に虫歯菌はいません。歯が生え始めた頃から菌が生息できる環境となっていき、育っていく過程で家族から移ることがほとんどです。

食事の際の食器の使い回しや可愛くてキスをしてしまうことなどでも菌が感染します。なんと、熱い食べ物をフーフーとするだけでも菌が移るともいわれています。ミュータンス菌は60℃なら30分、75℃なら15分で低温殺菌でき、死滅します。ミュータンス菌以外の口腔内細菌すべてを殺菌するには、75度以上で最低20分以上の加熱殺菌が必要です。

哺乳瓶や食器など、赤ちゃんの口に入れるものは上記を参考に殺菌してから使うのが良いでしょう。乳歯が完成する3歳ころまで極力虫歯菌の感染を防ぐことができれば、それ以降は虫歯になりにくい体質を作ることができるといわれています。
もちろん、体質なので個人差もありますが、虫歯菌への感染が遅い時期になればなるほど、虫歯ができにくい口内環境をつくることが出来るでしょう。
しかし、気を付けていてもなかなか菌の感染を完全に防ぐことは非常に難しいです。感染しないように気をつけることはもちろん大切ですが、感染しても虫歯菌に負けない強い歯を作ることが重要です。


ここまで虫歯菌の感染を避けるように、というお話をしてきましたが、近年の学会にて、乳児期の親から子への口腔内細菌の移行が乳児の免疫系を刺激し、乳幼児期の効果的なアレルギー予防につながる可能性があるという発表がありました。

近年、子どものアレルギー性疾患が増加していることはご存じでしょうか。
清潔な環境で育つ子どもが増えたことで、アレルギー耐性がなくなっているのではないかといわれています。

その関係性を調べた研究によると、乳児期の唾液接触が学齢期のアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の発症リスクの低下につながるという結果が出たそうです。
喘息についても発症リスクの低下の可能性が推測されています。この研究にはもっとたくさんの調査が必要となりますが、ラクトバチラス菌が体に良い働きがあるように、ほかの細菌にもまだまだ私たちが知らない働きや特徴など、新しい可能性があるのかもしれません。

しかし、虫歯のことを考えると、やはり唾液接触はおすすめできません。
虫歯菌に負けないためにも、日頃の歯磨きを丁寧に行い、定期的に歯科医院へ検診に行くことで十分にケアをしましょう。普段から家族みんなで気を付けて、大切な歯を守りましょう!

乳歯の虫歯予防

虫歯リスクの検査をしてみませんか?

虫歯の原因要素の一つ、「細菌」について説明しました。
細菌は0にすることは難しいため、歯科医院でのクリーニングやブラッシング指導を定期的に受け、セルフケアもしっかり行い、予防に努めましょう。

また、歯科医院によっては虫歯菌や唾液の量、唾液pHを調べて、虫歯リスクを測定する検査ができます。
「カリエス」という虫歯を意味する用語を使った、「カリエスリスクテスト」という検査です。気になる方は一度かかりつけの歯科医院で検査が可能か確認してみましょう。

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