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CASE05 根未完成歯の自家歯牙移植を行った症例

歯の移植症例

基本情報
主訴:左上の歯に穴が空いた
治療方針:自家歯牙移植
診断:縁下カリエス
特記事項:カリエスリスクが高く、処置歯・未処置歯も多い。

 

術前写真

初診時パノラマ

  • #26抜歯後

  • ドナー歯(#28)

  • 術直後

  • 術直後のレントゲン写真

  • 術後3ヶ月

  • 術後3ヶ月のレントゲン写真

  • 術後8ヶ月のレントゲン写真

  • 術後8ヶ月 EPT(-)

歯周ポケットは全周2mm 以内、EPT(-)だがサイナストラクトや打診といった臨床症状は認められません。

まとめ

根未完成歯の移植では歯髄の治癒と歯根の発育が期待できます。
歯髄の治癒は歯髄腔への血管再生(revascularization) とその後の歯髄腔の閉鎖(pulp canal obliteration, PCO) によります。Andreasen et al. (Eur J Orthod 1990; 12: 14-24)によると根尖孔の直径が1mm以上であれば、94%のドナー歯で歯髄の治癒が報告されています。これはMoorrees el al. (J Dent Res 1963; 42: 1490-1502)の歯根発育段階の分類でのstage 5(4/4まで歯根形成、根尖孔は広く開口)に相当します。臨床的にはドナー歯の根尖にヘルトビッヒの上皮鞘が小さくても確認できた場合には歯髄の治癒が期待できると考えられています。
Andreasen et al. (Eur J Orthod 1990; 12: 38-50)による移植後の歯根発育に関する報告では、移植時の歯根発育段階に関係なく、大半が部分発育に終わるとされています。そのため、歯根発育の観点からはドナー歯の歯根はできるだけ完成に近いことが望ましいことになります。

本症例のドナー歯は完全埋伏していた根未完成歯でした。ドナー歯の図に示すようヘルトビッヒの上皮鞘が確認できたため、生着後の歯髄の治癒が期待されました。歯根は歯冠歯根比に問題とならないほどの発育段階であったため、術後の歯根発育は予後を左右しないものと判断しました。
術後の経過は8ヶ月後でもEPT(ー)で歯髄の生活反応は認められませんでした。しかし、術後のレントゲン写真を比較すると根管の透過像が増しているためPCOが起こっている可能性があります。なお、打診やサイナストラクト、臨床症状が認められないため、根管治療はせず、このまま経過を観察することとしました。象牙質の露出やカリエスによる象牙細管内への感染を生じさせないよう注視します。