人と話しているときに自分の口臭や、人の口臭が気になった経験はありませんか?
口臭は多くの人が抱えている悩みであり、誰にでも起こり得ます。
口臭には原因があるため、原因を知ることで対策や改善が可能です。
そこで本記事では、口臭の原因や、対策について詳しく紹介していきます。
口臭について悩まれている方は是非とも最後までご覧いただき、お役立てください。
口臭は、生理的口臭・病的口臭・外因的口臭・心因性口臭の4つのタイプに分けられます。
一つずつ説明します。
生理的口臭とは、日常生活で発生する口臭です。唾液の分泌量が減ると、口腔内の細菌が増えてしまい、臭いが生じます。
寝起きや緊張、ストレスを感じている、空腹、口呼吸などの場合に唾液の分泌量が減少します。
歯磨きやうがいなどの基本的な口腔ケアで改善でき、誰にでもある口臭です。
病的口臭とは、健康問題によって引き起こされる口臭です。
進行した虫歯や歯周病などの口腔疾患、呼吸器系疾患や糖尿病などの全身疾患が原因です。
病的口臭のほとんどは口腔疾患が原因といわれています。
基本的な口腔ケアだけでは口臭の改善は難しく、専門家の診断と適切な治療が必要です。
外因的口臭とは、口に入れるものが臭いの原因になる口臭です。
タバコを吸うことや、ニンニク、ニラなどの強い香りのある食べ物の摂取が原因です。
この口臭は短期的ですが、食べ物は消化されるまで食道を通じて臭いを発します。
心因性口臭とは、口臭は発生していないのに、自分で「口臭がある」と思い込んでしまう症状です。自臭症ともいわれています。
心因性口臭の場合、診療クリニックなどでカウンセリングを受けるなどの心理的なアプローチが必要です。
口臭の原因は主に口の中にあるといわれています。
口臭を改善するには、まず原因を知ることが大切ですが、自己判断はできません。
歯科医院で相談すると原因追求の近道になるでしょう。口臭の主な原因は次の7つです。
順番に説明します。
口臭の原因の多くは、舌苔といわれています。
舌苔とは、舌の表面につく白い苔状をしたものです。
舌の表面は、味を感じる味蕾(みらい)と呼ばれる細かな突起があり、デコボコしています。
この突起の隙間に、口の中の垢や細菌、食べかすなどが付着して、細菌のかたまりが形成されます。
細菌はタンパク質を分解する過程で、強い臭いがするガス(揮発性硫黄化合物)を発生させます。
この臭いは卵が腐った臭いや玉ねぎが腐った臭い、魚が腐った臭いなどといわれており、強い刺激臭がします。
口臭の原因として、舌苔の次に挙げられるのが歯周病です。
歯周病は、歯周病菌によって歯ぐきが炎症を起こし、徐々に歯を支えている骨を溶かしてしまう病気です。歯周病菌がタンパク質を分解する過程で、ガスを発生させます。
歯周病は進行すると、歯と歯の間の隙間(歯周ポケット)が深くなります。
歯周ポケットの中は歯ブラシが届きにくいので汚れが溜まりやすく、酸素に触れないため細菌が活発化し、歯周病菌が増殖する環境です。
細菌が活発化し増殖するとガスが増え、より強い口臭がするでしょう。
また、歯周病が進行すると歯の根元のあたりに膿が溜まります。膿の袋が破れると強烈な臭いを発します。
適切な歯磨きがされていない場合、口の中に多くのプラークが蓄積します。
食後、数時間でプラークは形成され、歯の表面に付着します。
プラークに生息している細菌が、食べかすなどからタンパク質を分解する際に、ガスを発生させます。
蓄積されたプラークは少しずつ固まって歯石になり、歯石の表面はザラザラしているため、よりプラークが付着しやすくなります。
虫歯は、虫歯菌が糖分を分解するときに酸を作り、その酸によって歯を溶かして穴を開けます。
放置すると徐々に穴は大きくなり、食べかすやプラークが詰まるようになります。
歯ブラシが届きにくいので汚れが取り除けず、口臭が発生するようになるでしょう。
虫歯が神経に達し、最終的に神経が死んでしまうと、血流も栄養も届かなくなるので、徐々に神経が腐敗してしまい、強い臭いを発します。また、徐々に根っこの中で細菌が増え、根の先で炎症を起こして膿が溜まることも。
根の先に溜まった膿は歯ぐきの表面に、小さなニキビのような膿の袋を作ります。膿の袋が破れると、強い臭いがします。
入れ歯の形状によっては汚れが残りやすく、食後に清掃せずに装着したままの状態では、入れ歯と自分の歯や粘膜の間に汚れが多く残ってしまい、口臭がします。
また、保険適用で作製した入れ歯はレジン(プラスチック製樹脂)を使用しています。
レジンは傷がつきやすく水を吸収するため、入れ歯の内部に細菌が入り込み臭いを発する原因になります。
タバコの煙には口臭の原因になる、揮発性硫黄化合物やアンモニアなどが含まれています。
タバコに含まれているニコチンは、唾液を減少させる働きがあり、タール(ヤニ)は歯に付着して汚れがつきやすい口腔内環境を作ります。
特に歯ぐきへ悪い影響を与えるので、歯周病が進行・悪化しやすくなるでしょう。
唾液は口臭の発生を抑えるための重要な要素の一つです。
唾液には、口の中の汚れを洗い流すことや、抗菌作用によって口腔内の細菌の増殖を抑え、酸性の口腔内を中和するなどの働きがあります。
唾液の分泌量が不足している場合、唾液の作用が得られず、口腔内が乾燥して細菌が増殖しやすくなります。
唾液の分泌量が減ってしまう原因として、加齢や服用している薬の影響、ストレス、不規則な生活で免疫力が下がる、口呼吸などさまざまな原因があります。
口臭対策のポイントは、清潔な口腔内を保つことと、唾液の分泌量を減らさないことです。
紹介する口臭対策は、虫歯や歯周病対策としても有効なので、是非日々の生活に取り入れてください。
一つずつ説明します。
毎食後、正しく歯を磨き口腔内を清潔に保つことが大切です。
歯磨きでプラークを除去し臭いが強いガスの発生を防ぎ、また、プラークを除去すると細菌の増殖が抑えられるので、虫歯や歯周病の予防にもつながります。
歯磨きは一つひとつの歯にしっかりブラシを当てて、やさしく磨きましょう。発泡剤の多く入った歯磨き粉を使用すると、すぐに口の中が泡でいっぱいになり磨けた気になるため注意が必要です。
正しい歯磨き方法や自分に合った歯ブラシや歯磨き粉は、歯科医院での相談をおすすめします。
歯ブラシが当たりにくい歯と歯の間は汚れが残りやすい場所です。
デンタルフロスや歯間ブラシを使って、しっかり汚れを落としましょう。
汚れが残りやすい歯間は虫歯になりやすく、歯周ポケットも深くなる傾向にあります。
しっかり汚れを落とすことで、口臭の発生源を減少させます。
舌に汚れがあるときは、舌専用の舌ブラシを使用して掃除します。
注意点として、舌はとても繊細で傷つきやすいので、ゴシゴシ力を入れて磨いてはいけません。
また、舌苔は一度に全て取れないので、少しずつ時間をかけて掃除します。
舌苔がついていなければ、無理に清掃する必要はありません。
掃除するタイミングとして、1日に1回寝起きがおすすめです。
寝ている間は唾液の分泌量が少なく、寝起きは口の中に細菌が多くいるためです。
舌ブラシでやさしく奥から手前に数回汚れを取り除いてください。
タバコは口腔内に悪い影響を与えます。口臭を改善したいと考えるのであれば、吸わない選択も大切です。
タバコを止めることは難しいかもしれませんが、少しずつ禁煙への意識を持てるようにしましょう。
甘いものを多く摂取すると虫歯のリスクが高まるので注意が必要です。
また、ニンニクなどの臭いが強い食べ物からの口臭は一時的ですが、過剰摂取には気をつけましょう。
日頃からバランスの良い食事を心がけ、よくかんで食事をすると唾液の分泌を促せます。
水分補給は口臭対策に有効です。
口腔内が乾燥しないよう水分補給で潤いを保ちます。
また、ガムをかんで唾液の分泌を促すこともよいでしょう。
注意点として、糖分が含まれているものでは虫歯のリスクが高まるので、キシリトールやフッ素が配合されたタイプがおすすめです。
唾液の分泌を促すためにも、唾液腺のマッサージも有効です。
耳の下あたりや、下顎の角部分をやさしく押してマッサージをしてみましょう。これにより唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。
どんなに丁寧な歯磨きをしても、必ずプラークは口の中に残ってしまい歯石ができます。歯石や取りきれないプラーク、着色汚れは自分では除去できないため定期的に歯科医院で除去しましょう。
定期的にクリーニングを受けると、虫歯や歯周病の進行にもすぐに気づけるため、重症化する前に対処できます。
口臭の原因は人それぞれ異なるので、原因を知るには歯科医院での相談をおすすめします。
口臭の原因が虫歯や歯周病の場合、早く治療を進めなければいけません。
また、定期的なクリーニングを受けると、清潔な口腔内を保ち、ブラッシング指導によって適切な歯磨きができるようになります。
口臭に悩んだときは一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。