「フレイル」という言葉を聞いたことはありますか?
フレイルとは、年齢とともに心や体の働きが少しずつ弱くなり、健康な状態と介護が必要な状態の間にある状態のことです。フレイルになると、筋力や体力が低下し、疲れやすくなったり、転びやすくなったりします。
しかし、早い段階で気づいて適切な対策を行えば、健康な状態へ改善できる可能性があります。
お口の機能もフレイルと深く関係しています。フレイルの始まりとして注目されているのが、「オーラルフレイル(お口のフレイル)」です。
オーラルフレイルとは、お口の機能が少しずつ衰えていく状態をいいます。
例えば、次のような変化はありませんか?
このような症状をそのままにすると、十分な栄養がとれなくなり、筋力や体力の低下につながることがあります。
以下の質問項目に当てはまるものがあるかどうか、チェックしてみましょう。
あてはまるものの数が2つ以上の場合、オーラルフレイルに該当します。
歯や歯ぐきだけでなく、お口全体の機能を確認しフレイル予防のお手伝いをしています。
例えば、
などを行い、お口の機能を維持・改善することを目指します。
咀嚼(そしゃく)検査とは、食べ物をしっかり噛む力(咀嚼能力)を測定する検査です。食べ物を噛み砕く力や、お口の機能が低下していないかを確認するために行われます。
噛む力が低下すると、次のような症状が現れることがあります。
また、噛む力の低下は食事だけでなく、お口全体の機能や全身の健康にも影響することがあります。
検査では、専用のグミゼリーを噛んでいただき、噛んだ後に溶け出した糖分(グルコース)の量を測定します。
グミを細かく噛めるほど糖分が多く溶け出すため、噛む力を数値で客観的に評価できます。
検査は数分程度で終わり、痛みのない簡単な検査です。
咀嚼能力検査では、グルコース濃度100mg/dL以上が一つの目安とされています。ただし、年齢や歯の本数、入れ歯の使用状況などによって適切な値は異なるため、検査結果は他のお口の機能検査や症状も含めて総合的に判断します。
噛む力が低かった場合でも、過度に心配する必要はありません。
原因に応じて、入れ歯の調整や噛み合わせの改善、お口の周りの筋肉を鍛えるトレーニングなどを行うことで改善が期待できます。また、歯が抜けたままになっている場合は、適切な治療を行うことで噛む力の回復につながることもあります。
咀嚼検査は、噛む力を数値で確認し、お口の機能を客観的に評価する検査です。噛む力は、おいしく食事を楽しむだけでなく、栄養をしっかり摂り、健康的な生活を送るためにも大切な役割を担っています。
「最近噛みにくくなった」「食事に時間がかかる」「硬いものを避けるようになった」という方は、一度お口の機能を確認してみることをおすすめします。早めに状態を把握し、適切な治療やトレーニングを始めることで、お口の機能の維持・改善につながります。
舌圧検査とは、舌で上あごを押す力(舌圧)を測定する検査です。食べる・飲み込む・話すといった、お口の機能を確認するために行われます。
舌の力が弱くなると、次のような症状が現れることがあります。
また、舌は歯並びや噛み合わせを支える役割もあるため、舌の力が不足すると、お口全体の機能に影響することがあります。
検査では、小さな風船のような袋を舌の上に置き、前歯で軽く固定します。その袋を「できるだけ強く上あごに押し付ける」だけで測定できます。
痛みはなく、数秒で終わる簡単な検査です。小さなお子さんからご高齢の方まで安心して受けられます。
成人では30kPa以上が一つの目安とされています。
ただし、年齢や全身の状態によって適切な値は異なるため、検査結果は他のお口の機能検査や症状も含めて総合的に判断します。
舌圧が低かった場合でも、過度に心配する必要はありません。
舌の筋肉はトレーニングによって鍛えることができるため、お口の体操や舌の運動を継続することで改善が期待できます。また、入れ歯の調整や噛み合わせの改善が必要な場合もあります。
舌圧検査は、舌の力を数値で確認し、お口の機能を客観的に評価する検査です。舌の力は、食事や会話だけでなく、健康的な生活を送るためにも大切な役割を担っています。
「最近むせることが増えた」「食べにくさを感じる」「滑舌が気になる」という方は、一度お口の機能を確認してみることをおすすめします。早めに状態を把握し、適切なトレーニングを始めることで、お口の機能の維持・改善につながります。
発音の検査とは、「パ」「タ」「カ」の音を繰り返し発音し、お口や舌、唇の動きを調べる検査です。話すことだけでなく、食べる・噛む・飲み込むために必要なお口の機能が保たれているかを確認するために行われます。
お口や舌、唇の動きが低下すると、次のような症状が現れることがあります。
また、お口の動きが低下すると、会話だけでなく、食事や飲み込みにも影響し、お口全体の機能が低下することがあります。
検査では、「パ」「タ」「カ」をそれぞれ10秒間ずつ、できるだけ速く繰り返し発音していただきます。
1秒間に何回発音できたかを測定することで、お口や舌、唇の動きを数値で客観的に評価します。
「パ」「タ」「カ」には、それぞれ次のような役割があります。
検査は数分程度で終わり、痛みのない簡単な検査です。
一般的には、1秒間に6回以上発音できることが望ましいとされています。
一方で、1秒間に6回未満の場合は、お口の動きが低下している可能性があります。
ただし、年齢や全身の状態によって適切な値は異なるため、検査結果は他のお口の機能検査や症状も含めて総合的に判断します。
検査結果が基準値より低かった場合でも、過度に心配する必要はありません。
お口や舌、唇の筋肉は、発音練習やお口の体操などのトレーニングを続けることで改善が期待できます。また、入れ歯の調整や噛み合わせの改善が必要な場合もあります。
発音の検査は、発音の速さやお口・舌・唇の動きを数値で確認し、お口の機能を客観的に評価する検査です。お口の動きは、会話だけでなく、食事や飲み込みにも大切な役割を担っています。
「最近話しにくくなった」「滑舌が悪くなった」「むせることが増えた」という方は、一度お口の機能を確認してみることをおすすめします。早めに状態を把握し、適切なトレーニングを始めることで、お口の機能の維持・改善につながります。
「口腔機能向上訓練」と呼ばれるトレーニングがもっとも効果的とされていますが、日常のちょっとしたことを意識することが重要と言われています。
まずはブクブクうがいを10秒間します。「ブクブク」と音が出るくらい力強く、お口の中全体に水が回るようにします。
次にガラガラうがいを10秒間します。10秒間出来ない場合は普段より少し長めにうがいをしてみましょう。
最後に舌の運動です。あっかんべーっと思いっきり舌を前にだしてみましょう。少し疲れるくらいに負荷をかけると良いです。
また習慣化することで効果が上がります。
飲み込む力を改善させるストレッチです。
椅子に浅く腰掛け、右足を前に伸ばし,踵をつけてつま先を持ち上げます。
背筋を伸ばし、上半身を前に倒します。太ももの裏側をじわ〜っと伸ばし20秒数えます。
終ったら膝を曲げ、左足を行います。それぞれ2~3セットやると良いです。
他にも食事は30回以上噛んで食べる、グミやガムのようなものをしっかり噛むなどのトレーニングも良いですし、周りの人とおしゃべりを楽しむ、カラオケに行くなど口をよく動かす趣味も有効です。
お口の機能の低下は、痛みがないまま少しずつ進行することがあります。そのため、自分では気づきにくいことも少なくありません。定期的にお口の機能をチェックすることで、小さな変化を早めに見つけ、適切なケアやトレーニングにつなげることができます。
「しっかり噛める」「おいしく食べられる」「楽しく会話ができる」ことは、健康でいきいきとした毎日を送るためにとても大切です。
将来も自分らしい生活を続けるために、お口の健康からフレイル予防を始めてみましょう。