親知らずを抜歯した後、麻痺(しびれ)が出ることがあります。
これは、下の親知らずの近くに、下あごや舌・唇につながる歯の神経が
走っているからです。親知らずの根が歯の神経をまたいでいたり、
歯の神経の本当にすぐそばにあったりします。歯の神経を切らないまでも、
抜く時に少し触っただけでも麻痺が出ることがあります。
抜歯の際、多少触ったくらいであれば、
麻痺はそこまで長い期間残ることはありません。
違和感がある場合は
歯の神経に効くビタミン剤を処方されることが多いです。
これで症状が改善されることはよくあります。
しかし、麻痺が続く・感覚がほとんどないなど症状が
ひどい場合は速やかな処置が必要になります。
鍼治療、低出力レーザー照射、歯の神経ブロック、歯の神経再生手術などが代表的な治療方法です。
鍼治療は顔の外側から鍼を刺して歯の神経まわりの筋肉を刺激し、麻痺を治療する方法です。
低出力レーザー照射は、患部にその名のとおり低出力のレーザーを直接照射し麻痺を軽減していく治療法です。
歯の神経ブロックは、星状神経という喉にある歯の神経に極少量の麻酔を繰り返し注入する方法です。
ちなみに星状神経とは、7つある頸椎(首の骨を構成している骨)の1番下にある第7頸椎の両脇あたりにあります。
ここは、頭・顔面・首・肩・腕・胸・心臓・肺などの歯の神経が集まっている『歯の神経のツボ』のようなところです。
最後に「歯の神経再生手術」ですが、これは抜歯の際に歯の神経が切断されてしまった場合に行うもので、
読んで字のごとく切れた歯の神経を繋ぎ合わせる手術です。
投薬⇒鍼⇒レーザー照射⇒歯の神経ブロック⇒再生手術と、麻痺の度合いによって適した治療法も変わってきますが、
どちらにしても大切な歯の神経の修復ですから、早く処置するにこしたことはありません。
敏感になり過ぎる必要はありませんが、少しでも回復状況に違和感を感じることがあれば、
早めに主治医に相談されることをお勧めいたします。