インプラントは、基本的に3つのパーツからなります。
インプラント体を手術により顎の骨に埋め込みます。生体親和性が優れている純チタンもしくはチタン合金で作られていますので、金属アレルギーの心配は極めて低いです。インプラント体の表面は、より骨と結合しやすい加工がなされています。
インプラント治療が開始された頃は細菌が付着しないようにと、ピカピカに磨いたものが使用されていましたが、それだと骨との結合率が低いことから近年のインプラント体では細胞がくっつきやすいように顕微鏡レベルで表面をガサガサにして、骨との結合率を高めるよう開発されています。
それによりインプラント治療の成功率は高いものとなりました。
また、インプラント体はメーカーにより異なりますが、多くのメーカーで長さが6ミリ~16ミリ、太さが3.0ミリ~5.0ミリで製造されています(この他にも特殊なサイズのインプラント体も存在しています)。インプラント体とアバットメント(後述)との接合部の形にも種類があります。
大きく分けて、アバットメントがインプラント体の中に入り込むインターナルタイプ、アバットメントがインプラント体の上に乗っかるエクスターナルタイプの2種類があります。使用する部位や最終的な上部構造物(後述)によって適するものがありますが、現在はインターナルタイプを使用することが主流となっています。
骨に埋まっているインプラント体と最終的に装着する上部構造物をつなぐ役割をするのがアバットメントです。そのため、最終的に製作する上部構造物のタイプによってアバットメントを使い分ける必要があります。
インプラント体を1本ずつ単独で上部構造物を製作する場合は大きな問題はないのですが、複数本のインプラント体を利用して連結した上部構造物を製作する場合には角度補正が必要になることがあります。
というのも、すべてのインプラント体を平行に骨の中に埋入できればいいのですが、骨の量や骨格などにより斜めに埋入することもあります。それを補正するためにマルチユニットアバットメントを使用します。
これにより精密な上部構造物を製作することが可能です。
上部構造物とはお口の中で実際に機能する歯の部分になります。
上部構造物に使用される材料は現在ジルコニアが主流となっています。ジルコニアは強度・生体親和性が高く、バイオフィルムが付着しにくい素材です。
審美性はそこそこですが、他の素材と総合力で比較するとジルコニアに軍配が上がるといった状況です。
前歯ですと、審美性を重視しますので、ジルコニアボンドを用いた上部構造物が第一選択となります。
上部構造物はアバットメントとの連結方法によって
の2種類に大別されます。
それぞれにメリットとデメリットがありますが、インプラント周囲炎対策を重視して、現在はスクリュー固定が主流です。
インプラントはこのように基本的に3つのパーツから出来ています。適合精度が低いと、インプラント体周りの骨が吸収したり、ネジの緩みの原因となったりと様々なトラブルが発生します。インプラント治療はそれほどの精密さが要求される治療となります。
インプラントについて インプラントの症例について