骨の量や神経、血管の位置関係を事前に診査をし、その上でインプラントを埋入する位置を決めます。しかし、手術の際に骨の柔らかさや口の開く量によって計画と異なる位置にインプラントを埋入してしまい、隣の歯や神経を傷つけることがあります。
また、予定と異なる位置にインプラントが埋入されることで、最終的な上部構造物が作りにくくなることがあります。
手術では埋入するインプラントよりも少し細いドリルで骨を削り、インプラントを骨に食い込ませるようにします。骨が極端に柔らかい場合やドリルの操作時にブレてしまった場合、インプラントを骨に固定できないことがあります。
その際は予定とは異なるサイズのインプラントで対応したり、インプラントの埋入を断念し再手術での対応となることがあります。
極度の緊張によるショック、局所麻酔による血圧の上昇、想定外の大量出血など手術の継続が困難と判断したときには手術を中止することがあります。
手術は外科的な処置のため個人差はありますが、痛みや腫れを伴います。腫れている部分が熱を持っている場合は濡れタオルで冷やすことが有効です。
全身疾患や服用薬の関係、手術時の血管損傷により手術後に再び出血することがあります。手術後は血の巡りが良くなる行為は避けましょう。
また、手術部位を引っ張ったり、不用意に触ったりしないでください。再出血した場合は清潔なガーゼで血が出ている場所を圧迫し、歯科医院へご連絡ください。
骨造成をした場合では通常よりも出血量が多くなります。そのため、術後に内出血を起こし、あざが出る場合があります。熱を持っている場合は濡れタオルで冷やしてください。熱感や腫れが落ち着いてきたら、体温程度の暖かいタオルで温めてください。
原因として考えられることは、術後の腫れによる神経の圧迫・インプラントによる神経の圧迫です。後者の場合、インプラントの撤去が必要になることがありますので、担当医に状態を正確に報告してください。
縫っている部分が開いてしまい、感染することがあります。
原因として、
2次手術前にはレントゲン写真などでインプラントと骨との関係を確認しますが、まれにレントゲンでも見分けがつかない場合があります。
骨造成に使用する人工骨の一部分は吸収してしまいます。また、十分な期間を待ってから2次手術を行いますが、自分の骨と一体化しない場合があります。
インプラントの仮歯はネジで固定しますが、そのネジが緩むことがあります。
咀嚼は舌や頬の筋肉と顎関節が絶妙なバランスを保ちながら行われます。ただ、治療している側を長期間使わないことで、そのバランスが崩れてしまうことがあります。リハビリだと思って、最初はゆっくり、柔らかいものを噛むようにしましょう。
インプラントは歯より細いため、ご自身の歯と比較すると歯磨きが難しいかもしれません。ただ、歯磨きができなければ、将来のトラブルになりますので、仮歯の形を調整するなどの対策を講じた方が良いでしょう。
仮歯はプラスチック製ですので、硬いものを噛んだ時に欠けることがあります。
インプラントはネジで止めますので、それが緩むことがあります。
使用する材料にもよりますが、セラミックを用いた上部構造物では硬いものを噛んだ際に割れることがあります。インプラントはご自分の歯よりも強い力を発揮できてしまうため、そういったトラブルが起きることがあります。
インプラントはご自分の歯よりも感染に弱いため、歯磨きが不十分だったり、体の免疫力が落ちたりすると歯ぐきにトラブルが出ることがあります。インプラントを支えている骨がやられてからでは手遅れになることがあります。
インプラントは動きませんが、ご自身の歯は動きます。そのため、インプラントと歯の間がゆるくなり、ものが詰まりやすくなることがあります。
歯軋りや食いしばりが強い方では突然インプラントと骨の結合が剥がれることがあります。
インプラント治療は以前と比較すると一般的な治療になりましたが、100%成功する治療ではありません。インプラント治療を受ける際は、起こりうるトラブルについてもしっかりとご理解いただいた上で決断をされることをお薦めします。