根管治療を成功に導くために

目次

  1. 根管治療とは
  2. 根管治療の成功率を上げるために必要なこと
    1)CT撮影
    2)マイクロスコープの使用
    3)根管充填
  3. 通常の根管治療が困難な場合の対応方法

    1)意図的再植術

    2)歯根端切除術
  4. 根管治療の注意事項
  5. 根管治療が困難なケース
  6. 再発を防ぐためには
  7. まとめ

根管治療とは

根管治療について

根管治療とは、虫歯菌が神経まで達し、感染した根管をキレイに洗浄を行い、最終的に再感染を防ぐために根管内を詰める治療です。

根管治療は「管」の汚れを取る治療です。これは排水管の中を綺麗に掃除するのと同じです。

治療の成功率を上げる
為に必要なこと

  1. CT撮影による精密な診査
  2. マイクロスコープを使用した精密な感染物の除去
  3. MTAセメントによる精密な封鎖

CT撮影

病気の有無、3次元的な根管の形を把握することができます。
正確な診断のためには必須ですが、
保険診療では大臼歯しか撮影することが
できません。

根管を墨汁で染め出した状態です。根管はこんなにも複雑な形をしています。

病変や根管の形、状態を3次元的に把握します

根管治療について

通常のレントゲン撮影では確認できない根や、根の先の炎症もCTによって確認することができます。

マイクロスコープ(顕微鏡)の使用

なんとなく、感覚的な治療から、確実に「見て」治療をすることが可能です。見えるからこそ、感染物(汚れ)が取れているかどうかを判断できるのです。

なお、呼気に含まれる水蒸気で鏡が曇ってしまうので、マイクロスコープも用いて治療を行う際にはラバーダムは必須です。

ラバーダムの重要性

マイクロスコープで見ると

根管治療について

根管の内部は汚れているのがわかります。肉眼ではこの汚れは見えません。

根管充填

根管内部がキレイになり、目立った症状が消失したら、根管の内部を生体親和性のある材料をつめて再感染を防止します。
その際に推奨される材料はMTAセメントですが、これは保険適応外の材料となります。

MTAセメントとは

MTAセメント ガッタパーチャ
(保険診療で使用する材料)
成分 ポルトランドセメント75%

(コンクリートと同じ成分)

酸化ビスマス5%

精製水20%
ガッタパーチャ(ゴム状の樹脂)
18~20%

酸化亜鉛
61~75%

ワックスやレジン1~4%

重金属硫酸塩2~17%
封鎖性 固まると膨張するので、隙間が出来ない。そ
のため菌が繁殖するスペースがありません。

歯と接着する。
固まると縮むので、隙間が生じてしまう。
そのため、菌が繁殖しやすい状態になります。

歯とは接着しない。
殺菌力 アルカリ性のため、強い殺菌作用 なし
硬組織誘導能 失われた骨が再生される なし
親水性 あり。根管の完全乾燥が不要。
細い根管内の完全乾燥は非常に困難です。
なし。根管の完全乾燥が必要。
生体親和性 高いため、安全な材料です。 低く、表面にバイオフィルムが作られやすい。
つまり、再感染のリスクが高まります。
費用 保険適応外 保険適応

通常の根管治療が困難な場合の対応方法

  • 通常の根管治療では治療の効果がない場合
  • 現在のかぶせ物を外したくない場合

このように通常の根管治療で治せない場合、根管治療を外科的なアプローチで行います。これを外科的歯内療法といいます。外科的歯内療法の術式は、次の2つになります。

  1. 意図的再植術
  2. 歯根端切除術

1.意図的再植術

歯を抜き、お口の外で感染している部分を取り除き、歯を戻します。

メリット

  • 感染源を直接確認できます。

デメリット

  • 歯の形によっては適応になりません。
  • 歯を抜くときに割れてしまったら
 抜歯になります。
  • まれに歯が生着しないことがあります。
  • 術後に腫れや痛みを伴います。

2.歯根端切除術

病変と根の先を切除する手術を行います。

メリット

  • 意図的再植と異なり、歯を抜く必要がありません。

デメリット

  • 骨の厚みや神経の位置関係によっては適応外となることがあります。
  • 狭い範囲での処置になるため、感染物を取り残す恐れがあります。
  • 術後に腫れや痛みを伴います。

根管治療の注意事項

①治療期間中、治療後に痛みを
伴うことがあります

治療の過程で根の先端を刺激したり、治療による細菌叢の変化によって、
何もしない状態で痛む、腫れが生じる、噛んだ時に痛むなどの症状が出ることがあります。
数日で痛みが治ることが多いですが、耐えられない痛みがある、腫れが大きいなどの場合はご連絡ください。

②根の中で器具が折れる可能性があります。

根の中は非常に細いため、器具も細いものを使用します。そのため、器具が偶発的に折れてしまう可能性があります。

破折した場合は、可能な限り除去を試みますが、症状や歯の状態によっては除去せず、経過観察することもあります。

③治療後、再感染を起こす可能性があります。

根の先が複雑な構造をしており、再度炎症が起きてしまうケースもあります。こうなった場合は、外科的歯内療法もしくは抜歯の適応となります。

④治療後、歯の破折を起こす可能性があります。

根管治療を行うと、歯根の内部を削るため、根管治療を行っていない歯と比べると歯が薄くなります。
そのため、歯根が割れるリスクが高まります。
残念ながら破折してしまった場合は抜歯の適応となります。

根管治療が困難なケース

根管治療について
  • 器具の到達が困難な場合:(根が曲がっている
、根管が細くなっている
、根管が内部で枝分かれしている など)
  • むし歯が深くまで進行している場合
  • 歯根が病的な吸収を起こしている場合
  • 歯周病を併発している場合
  • 根が割れている・ヒビが入っている場合

再発を防ぐためには

根管治療が終了したら、噛み合わせや見た目の回復ためにコア(土台)+かぶせ物の治療が必要になり、ここまで行って治療が完了します。

さて、ここで問題です。

  1. そこそこの根管治療+完璧なかぶせ物治療
  2. 完璧な根管治療+そこそこのかぶせ物治療

どちら再発が少ないでしょう?
答えは1)です。
根管治療もかぶせ物治療もどちらも大切ですが、かぶせ物の質が根の病気の再発に強く関わっているのです。それは、かぶせ物と歯の間に隙間があると、そこから細菌が歯の内部に侵入してしまうからです。 かぶせ物には様々な種類がありますので、担当医とよく相談しましょう。

かぶせ物治療の流れについて かぶせ物の種類について

まとめ

根管治療を成功に導くためには、正確な診断を行い、よく見える状態で感染物を除去し、適切な材料で根管を詰めることが重要です。そして、根管治療が終了後のかぶせ物(クラウン)は再発を防ぐためにはとても重要です。
昨今、インプラント治療が盛んに行われていますが、天然の歯に勝るものはありません。抜歯はいつでもできますが、ご自身の歯を残すことはその時しかできません。

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