ブリッジ治療とは?
歯を失った場合の治療法の一つです。ブリッジとは「橋」という意味で、歯のない部分に隣の歯を利用して、橋をかける治療法になります。
ブリッジのメリット
- 治療期間が短い
- 昔から行われている治療方法である
- 保険適用のものは安価で治療ができる
- 保険適用外のものであれば、白い歯を作れる
- 基本的には外科処置せずに治療できる
ブリッジのデメリット
- 歯を削らなければならない
- 歯の神経のある歯を削る場合、しみることがある
- 歯の生え方によっては歯の神経を取る必要がある
- 支えている歯の力学的負担が大きい
- 本来、動く歯を固定するため、歪みが生じ、長期的に外れることがある
- 清掃が困難
ブリッジの構造
支えとなる歯を支台歯と呼び、支台歯にはクラウンを装着します。そして、歯のない部分をポンティックと呼び、クラウンとポンティックをつなげます。それぞれのつなぎ目を連結部と呼びます。
ブリッジの強度を確保するためには連結部を一定以上の太さにしなければ噛む力でブリッジが折れてしまいます。使用する材料によって必要な太さが異なります。
ポンティックの形は使用する材料によって異なります。セラミック系の材料であれば、卵型にして歯ぐきと密接させます。そうすることでポンティックの下に汚れが入り込むことを防ぎます。
ブリッジ治療の流れ
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01
- 診査・問診
- ブリッジを製作する部分だけでなく、残っている全ての歯の歯ぐきの状況、過去の治療歴、かみ合わせ、歯並び、噛む力の強さを検査します。また、ブリッジを製作する部分が、すでに歯を失っている状態であれば歯のない部分の形態を、これから歯を抜くのであれば抜歯後の歯ぐきの形態を予測します。
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02
- 治療方針の決定
- ブリッジは歯を削って行う治療法になりますので、治療を開始したら後戻りが出来ません。ブリッジのメリット・デメリット、そしてブリッジ以外での治療方法についてもご理解をいただいた上で治療を進めていきます。また、使用する材料によって歯の削り方が異なりますので、この時点で使用する材料についても決定します。この時点で費用についても、しっかりとご説明しますので、ご安心ください。
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03
- 前処置
- 根の治療や歯周病の治療など、ブリッジを製作する前に必要な処置があれば、この時点で処置します。
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04
- 歯を削ります
- ブリッジに適するよう、支えとなる歯を平行に削ります。2本以上の歯を平行になるよう削るため、1本のクラウンを作るときよりも歯を削る量が多くなることがあります。
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05
- 仮歯を入れます
- 見た目、かみ合わせを確認するために仮の歯を装着します。特に前歯ブリッジを製作する場合、仮歯の形がとても重要です。技工士は仮歯の形を参考にブリッジを製作します。いわば、仮歯は技工士にとってのブリッジの設計図のようなものです。デタラメな設計図では良い建築物は作れないのと同じです。「仮歯だから」と思わず、形が気になれば、担当医に気軽にご相談ください。ただし、仮歯は材料の関係で色や表面のツヤに限界がありますので、ご理解ください。また、仮歯は外せるように着けますので、粘着性の食品にはご注意ください。
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06
- 精密な型をとります
- 精密な型を採るためには歯ぐきが健康であることが重要です。歯ぐきが腫れた状態では、鮮明な型が採れません。精密な型採り=正確なブリッジになります。また、より正確に型を取るために、歯ぐきの溝(歯肉溝)に糸を挿入する(歯肉圧排)ことがあります。
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07
- かみ合わせの記録をとります
- ブリッジは最低でも3本の歯のかみ合わせに関係しますので、かみ合わせには細心の注意が必要です。
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08
- 完成前の最終チェック
- ブリッジのかみ合わせ、色、歯並びを確認・調整します。
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09
- 完成
- 完成したブリッジを装着します。歯ぐきとの馴染みなどを考慮して、仮に着けることがあります。問題なく使用できれば、最終的に歯とブリッジを強固に接着していきます。
ブリッジの種類
ブリッジは歯が繋がった被せ物になるため、使用できる材料がクラウンとは異なります。なお、ブリッジはクラウンとポンティックを合わせた数の合計本数で費用を算出します。
料金表
オールセラミックブリッジ
(¥165,000×本数)
最新の透明度が高いジルコニアを用いたブリッジになります。従来のジルコニアは透明感がなく、前歯に使用することは審美的観点より不向きでしたが、技術進歩により、透明度の高いジルコニアが開発されました。ただし、ジルコニアでは天然の歯が持つ、独特の色味を表現することが難しいため、表面にステイニング(表面の色付け)を施します。陶材を使用するオールセラミッククラウンと比較すると自然観が見劣りしますが、美しい仕上がりになります。金属を一切に使用していないため、金属アレルギーの心配もありません。
メタルボンドブリッジ
(¥165,000×本数)
金属のフレームに陶材を盛り上げたブリッジになります。陶材を用いるので繊細なグラデーションと透明感を再現でき、非常に美しい仕上がりになります。ただし、フレーム材料に金属を用いているため、光を全く透過しないため、歯ぐきに暗さが出ることがあります。貴金属を使用していますが、金属アレルギーのリスクがあります。ただし、丈の短い歯が支台歯の場合、セラミックがかけやすくなるため、お勧めできないことがあります。
硬質レジンブリッジ
(保険適用)
金銀パラジウム合金を用いたクラウンになります。いわゆる銀歯で、5番目以降の奥歯に使用されます。金属のため、強度があり、保険適用のため安価なのがメリットです。ただし、見た目も精度が悪く、また汚れがつきやすいため、2次むし歯のリスクが高くなります。
ブリッジごとの早見表
オールセラミック
精度 |
★★★★★ |
審美性 |
★★★★★ |
強度 |
★★★★★ |
清掃性 |
★★★★★ |
フルジルコニア
精度 |
★★★★ |
審美性 |
★★★★ |
強度 |
★★★★★ |
清掃性 |
★★★★★ |
メタルボンド
精度 |
★★★★ |
審美性 |
★★★★ |
強度 |
★★★★ |
清掃性 |
★★★★ |
硬質レジン
金銀バラジウム
ブリッジの適応とは?
ブリッジは失った歯を他の歯を利用して補う方法です。だからと言って、歯があれば、なんでもブリッジが適応されるわけではありません。
歯にはそれぞれ強さがあり、複雑な計算式をもとにブリッジの適応と不適応を判断します。その内容は大変複雑なため、ここでは割愛しますが、簡単に言えば、頑丈な歯を失ったら、支台歯の数を増やさなければならない、ということです。それが長期的に安定したブリッジを作るための条件となるわけです。
上記の理論は支台歯となる歯がパーフェクトは状態を想定していますが、実際にはすでに歯の神経が取られていたり、歯周病で骨の支えが少なくなっていたりと条件が悪くなった歯を支台歯として利用しなければならないことがほとんどです。歯の条件が悪ければ、さらに支台歯を増やさなければなりませんが、そうすると別の問題が起こります。それは「適合度」です。支台歯の数が増えるにつれて、それぞれの支台歯にピッタリと合うブリッジを作ることが困難となります。適合度が悪ければ、2次むし歯のリスクが増大し、長持ちするブリッジとはなり得ません。
ブリッジの適応を考える時は失った歯の種類を考えるだけでなく、支台歯となる歯の条件やかみ合わせなどを考慮して、総合的に判断することとなります。
歯を抜いたらすぐにブリッジ入れるの
歯を抜いた後、傷口が治るまでブリッジを入れることはしません。傷口は大きな穴になっていますが、徐々に穴が塞がります。歯を抜いた部位の形が変化するため、早期にブリッジを作ってしまうと、ものが詰まりやすかったり、隙間が生じたりします。基本的には抜歯から3ヶ月ほどで形が安定しますので、それからブリッジの治療を製作します。
3ヶ月も?と思われるでしょうけど、歯を支えていた骨の治りが関係するので、時間がかかります。骨折が治るのに時間がかかるのと同じ理由です。
ブリッジの清掃方法
ブリッジは歯が繋がっていますので、フロスを通すことが出来ません。そのため、歯間ブラシやスーパーフロスを使用していただきます。歯が繋がっているため、汚れが停滞しやすくなりますので、毎日の清掃が欠かせません。清掃が不十分だと、2次むし歯や歯周病になってしまいます。
ブリッジの保証
装着したブリッジに不備が生じた場合の保証についてです。ブリッジをやり直さなければならない状況は
- ブリッジの支えとなる歯のトラブル(2次むし歯、根の問題など)
- ブリッジが外れて、紛失した
- ブリッジの白い部分が割れた
保険適用のブリッジについて
保険診療では「補綴物維持管理料」という項目があります(明細書をご確認ください)。医院はブリッジを2年間維持・管理しなければならないルールがあります。簡単に言ってしまえば、2年保証ということです。保険診療では再診料などの費用は発生します。
保険適用外のブリッジについて
当院では装着したブリッジにトラブルが生じないよう診断をし、慎重に治療を進めていうことは大前提ですが、患者様により安心して保険適用外のブリッジをご選択いただけますよう、5年間の保証期間を設けています。
治療したブリッジの経過を観察し、トラブルが生じないようにしていくため、定期検診にいらしていただいていることが保証の条件となります。