虫歯や歯周病という言葉を耳にする事はあると思いますが
「酸蝕症(さんしょくしょう)」という言葉を聞いたことはありますか?
✓が1~3個 酸蝕症になる可能性は低いでしょう。
✓が4~7個 酸蝕症になる可能性があります。
✓が7~10個 酸蝕症になる可能性が非常に高いです。
歯の外側の白い部分がエナメル質です。エナメル質が溶けて、やや黄色っぽい、中の象牙質が露出しています。
酸蝕症とは虫歯ではないのに歯が溶けてしまう病気です。近年問題となっていて、酸性の飲食物(炭酸飲料など)で歯がどんどん溶けていってしまうのです。食生活・生活スタイルと密接に関係がある現代病の一つです。
酸蝕症の怖いところは歯が少しずつ溶けるため、気がつかないうちに進行します。こんな症状があったら要注意です!
お口の中が酸性になると脱灰(だっかい)といって、歯は溶けてしまいます。体で最も硬いエナメル質はpH5.5以下では溶けると言われています。また、エナメル質の中にある象牙質はpH6.0~6.2と
中性(pH7.0)に近い状態でも脱灰が進行すると言われています。
レモンやグレープフルーツといった柑橘系の果物やコーラ系を代表とした炭酸飲料はお口の中をあっという間に酸性にします。また、逆流性食道炎を患っている方や摂食障害の方では強い酸である胃酸がお口の中に充満してしまうため、歯が溶けることがあります。
歯は食事のたびに、歯からミネラルが流れ出る脱灰と、歯にミネラルを取り込む再石灰化を繰り返しています。そのバランスが崩れると、酸蝕症が進行します。
でも、大丈夫。お口の中が酸性になっても、唾液の洗い流し効果や緩衝能
(中和してくれる力)によって歯は再石灰化します。
ただ、唾液の再石灰化効果以上に、
お口の中が長時間、もしくは高い頻度で酸性にさらされると、脱灰>>>再石灰化となり、歯はどんどん溶けてしまいます。
かつて、歯と銀歯はぴったりと合っていたはずですが、歯が溶けてしまい、銀歯が浮いてしまっています。
エナメル質が溶けて、その中の象牙質が露出すると、大変さは一層増します。象牙質はエナメル質よりも溶けやすいため、露出した象牙質がどんどん溶けてしまいます。
健康のためにお酢を飲む方!要注意です。体は健康になるかもしれませんが、お口の中はそうとは言い切れません。
レモンサワーが大好きな友人がいます。飲む量が多く、長時間飲んでいると、飲み会の最中から歯が凍みだすそうです。飲み会の間にレモンサワーの酸で歯が溶けているのでしょう。ちなみに、その友人は歯科医師です。
頻繁に飲食をすると、再石灰化(青色)の時間が短くなり、脱灰(赤色)の時間が長くなります。
歯を溶けないようにするためには、規則正しい食生活が最も大切です。砂糖が入っていないからといって、炭酸水を好んで飲んでいると酸蝕症のリスクは高まります。酸性度の高い飲食物を摂ってもいいのですが、飲み方・食べ方を工夫する必要があるの
です。
「だらだらと飲み食いしない」!ということです。飲食回数が増えると、お口の中が溶けやすい酸性の時間が長くなります。
お口の酸性度は唾液の力(緩衝能)により30分くらいで元にもどりますので、酸蝕症の方は食後30分経ってから磨くことをオススメします。ただし、30分後に歯磨きを忘れてしまう方や虫歯がある方は食後すぐに歯磨きをしましょう。
飲み物はストローを使うことで歯に触れることなく飲むことができます。また、飲食後にガムを噛んで唾液をたくさん出すことも有効です。唾液の力を引き出しましょう。
頻繁に飲食をすると、再石灰化(青色)の時間が短くなり、脱灰(赤色)の時間が長くなります。
酸性度が高いものを飲食したら歯磨きをすぐにしてはいけません。酸によって歯の表面がやわらかくなっていますから、ゴシゴシと磨いてしまうとエナメル質がすり減ってしまうのです。
溶けてしまった歯は元には戻りません。溶けた歯を直すためには、つめ物やかぶせ物により治療する必要があります。歯の溶け方によって最良の材料や詰め方・被せ方を選ぶ必要がありますので、担当医と相談の上、治療を進めていきましょう。
近年、虫歯は減少傾向にありますが、酸蝕症は増加傾向にある病気です。共に食生活と密接に関係しているところが共通点です。健康のために行っている食習慣が実は歯にとっては悪かった、ということもあります。
歯の健康を維持するためには定期的な検診と日々の正しい歯磨きが大切です。3〜6ヶ月に一度は歯科医院での検診をオススメします。