- はじめに
- 歯の着色汚れが起こるメカニズム
- 歯が着色しやすい人の特徴
- 歯が着色しやすい飲食物
- 自宅でできる歯の着色を防ぐ方法
- 歯科医院で着色を落とす方法
- まとめ
はじめに
「毎日歯を磨いているのに歯が着色してしまう」
「歯の着色汚れが取れず気になっている」
歯が汚れていて思いっきり笑えず、口元を手で隠してしまうということはありませんか?
すでに付着している着色汚れは、セルフケアで取り除くのは難しいため、歯科医院で治療を受ける必要があります。
また、日頃から歯の着色を防ぐには生活習慣や歯のセルフケアを見直すことも大切です。
この記事では、歯の着色に悩まれている人に向けて歯が着色しやすい人の特徴、着色しやすい飲食物や着色を防ぐ方法についてお伝えします。
歯の着色汚れが起こるメカニズム
まずは、歯の着色汚れが起こるメカニズムからお話します。
歯の表面は、ペリクルという唾液の保護膜によってコーティングされています。このペリクルは歯を酸から守る一方で、飲食物の色素と結びつくと着色(ステイン)の原因にもなってしまうのです。
一度歯に着色がついてしまうと歯磨きだけで汚れを落とすのは簡単ではありません。着色汚れを完璧に除去するには、歯科医院で専用の器具を使って汚れを落としてもらう必要があります。
歯科医院での治療については後ほど詳しくお伝えします。
歯が着色しやすい人の特徴
歯が着色しやすい人には以下6つの特徴があります。
- 着色しやすい飲食物をよく口にする
- タバコを吸う
- 歯並びが悪い
- 歯石が溜まっている
- 口呼吸をしている
- 歯の磨き方に問題がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
着色しやすい飲食物をよく口にする
歯が着色しやすい人の特徴として、普段からコーヒーやカレーなど色の濃い飲食物をよく口にする習慣があることが挙げられます。歯が色素成分に長時間さらされると着色汚れが付きやすくなります。
着色しやすい飲食物については後ほど詳しくお伝えします。
タバコを吸う
喫煙者はタバコのヤニによって歯が黄ばみます。ヤニとは植物が分泌する褐色の樹液のことで、タールとも呼ばれています。
室内でタバコを吸うと壁紙が黄色く汚れてしまいますが、あれはタールの汚れが蓄積されて起こる変色です。そして歯も同じようにタールによって黄ばんでしまうのです。
タールは粘着力が非常に強く、一度歯の表面に付着すると歯磨きだけではなかなか落とせません。また、口内の血流が悪くなり、歯ぐきの黒ずみや歯周病を引き起こす原因にもなるため、喫煙者は日頃のケアと定期的な歯科医院の受診が大切です。
歯並びが悪い
喫煙習慣がなく、色の濃い飲食物にも気を遣っているのに歯が着色してしまう場合は、歯並びに原因がある可能性があります。
歯が重なり合っていると歯と歯の間に歯ブラシの毛先が届かず、どうしても磨き残しが発生します。ブラッシングが不十分な部分は着色汚れが残るため、色素沈着が起こりやすくなるでしょう。
歯石が溜まっている
歯石を除去せず放置していると着色汚れが付きやすくなります。
歯石とは、歯の表面に付着している白い細菌の塊(プラーク)が、石灰化して石のように固まったものです。歯石の表面はザラザラしており、そこに色素の濃い食べ物などが運ばれると着色する恐れがあります。
歯石除去はセルフケアでは難しいため、歯科医院でクリーニングを受ける必要があります。
口呼吸をしている
口呼吸の習慣があると口内が乾燥し、歯が着色しやすくなります。唾液には歯の汚れを洗い流す働きがあるため、唾液の分泌が多いほど着色汚れを防ぐことができます。反対に、口内が乾燥状態になると唾液が歯全体に行き渡らず汚れが付きやすくなります。
歯の着色を予防するためにも、なるべく鼻呼吸を心がけ、こまめに水分を摂ったり、ガムを噛んだりして唾液の分泌を促しましょう。
歯の磨き方に問題がある
正しい歯磨きができていないと色素が歯に残り、色素沈着を起こす可能性があります。磨き残しがある場合、細菌の塊であるプラークが溜まり、やがて自分では除去できない歯石に変わります。
自分の歯並びに最適なブラッシングをするためにも一度歯科医院でブラッシング指導を受けるのがおすすめです。
歯が着色しやすい飲食物
歯が着色しやすい飲食物は以下の6つです。
- コーヒー
- 緑茶、紅茶などのお茶類
- ベリー系のフルーツ
- 大豆製品
- カレー
- 色の濃い調味料
1つずつ見ていきましょう。
コーヒー
コーヒーに含まれるポリフェノールやタンニンという色素成分は、歯が着色する原因となります。マグカップに茶渋が付くのと同じように、コーヒーを頻繁に飲むと歯の表面に色素が浸透してしまい、自分では落とせない汚れとなってしまうのです。
コーヒーを飲むときは、一緒に水を飲むと口内の色素成分が薄まります。
緑茶、紅茶などのお茶類
緑茶や紅茶などのお茶類は、カテキンやタンニンという成分により着色しやすくなります。緑茶は色が薄いので着色汚れの心配がなさそうに見えますが、色素成分が含まれているため注意が必要です。
ベリー系のフルーツ
ブドウ、イチゴ、ブルーベリー、クランベリーなどのベリー系のフルーツには、アントシアニンという鮮やかな色素成分が含まれているため、歯に色が付きやすいと言えます。
また、ブドウから作られる赤ワインも同様にアントシアニンが豊富なため、着色の原因になります。
大豆製品
豆腐、豆乳、納豆などの大豆製品に多く含まれるイソフラボンは、色素沈着を起こしやすいと言われています。豆腐や豆乳は色が薄いため歯の着色とは関係なさそうに見えますが、歯が黄ばむ可能性があります。
カレー
カレーは歯が着色しやすい代表的な食事です。カレーが黄色い色をしているのは、香辛料として使われているターメリックが濃い黄色をしているためです。
カレーを食べた後は水を飲むか、あるいはあまり時間を置かずに歯を磨くことをおすすめします。
色の濃い調味料
ソース、ケチャップ、醤油や味噌などの色の濃い調味料は、着色汚れが付きやすい傾向があります。
これは色の濃い調味料を口に入れることで唾液に色が付き、口全体に広がるためです。ナポリタンなど、調味料の色が付いている料理には注意しましょう。
歯の着色汚れ、原因と対策
自宅でできる歯の着色を防ぐ方法
自宅でできる歯の着色を防ぐ方法は、以下5つです。
- 飲食後に口をゆすぐ
- ストローで飲む
- 歯磨きは力の入れすぎに注意する
- 就寝前は着色しやすい飲み物を控える
- ホワイトニング成分が含まれている歯磨き粉を使う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
飲食後に口をゆすぐ
飲食後すぐに口をゆすぐと、歯に付着した色素が洗い流されて着色を防ぐことができます。歯磨きをする時間がなくても一旦口をゆすぐことで、口内の色素が薄まり色素沈着を抑えられるでしょう。
ストローで飲む
コーヒーや紅茶を飲む際は、ストローを使うと着色を防ぐことができます。ストローを口の奥まで入れ、歯の表面に飲み物が触れないようにして飲めば、着色するリスクを避けられます。
ただし、ホットドリンクにストローを使用すると火傷の恐れがあるため、冷たい飲み物で使用しましょう。
歯磨きは力の入れすぎに注意する
歯磨きの際についつい力を入れ過ぎてしまう人は、手の力を緩めましょう。歯の汚れが取れないからといってブラッシング圧を強めると、歯の表面に傷が付き、かえって色素が付きやすくなるからです。
歯ブラシの毛先を歯に優しく当てて、1本ずつ丁寧に磨くことを意識しましょう。
就寝前は着色しやすい飲み物を控える
就寝前は着色しやすい飲み物を控え、なるべく水を飲むようにしましょう。寝る前に色素の濃い飲み物を飲んでしまうと、朝まで色素成分が歯に残り色素沈着を起こす恐れがあるからです。
また、就寝中は唾液の分泌が減少し唾液による自浄作用が弱まるため、着色汚れが歯に付きやすくなります。寝る直前は色のついていない水を飲むと着色防止につながるでしょう。
ホワイトニング成分が含まれている歯磨き粉を使う
着色を防ぐためには毎日の歯磨きで歯の汚れをコツコツ落としておくことが大切です。日常のお手入れにホワイトニング成分が含まれている歯磨き粉を取り入れると着色を抑えることができます。
歯磨き粉の選び方としては、歯が傷付きにくい研磨剤の粒子が細かいものにすると安心です。ポリエチレングリコールやハイドロキシアパタイトが配合されている歯磨き粉は特におすすめです。
歯科医院で着色を落とす方法
つづいて、歯科医院で着色を落とす方法は、以下3つです。
- PMTC
- エアフロー
- ホワイトニング
それぞれ詳しく見ていきましょう。
PMTC
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは、歯の表面に付着した着色や黄ばみを取り除く治療のことです。具体的にはブラシやラバーカップなどを器具の先端に取り付けて歯面清掃を行います。
治療後は歯の表面がツルツルになり、さっぱりとした感覚を得られます。着色だけでなくプラークの除去もできるため、虫歯・歯周病予防にもつながります。
歯のクリーニング
エアフロー
エアフローとは、超微粒子パウダーと水をジェット噴流で歯に吹き付け、頑固な着色汚れを落とすための器具のことです。
エアフローを使用するとPMTCでは落とせなかった歯と歯の間や歯周ポケットの汚れをパウダーの噴流できれいに落とすことが可能です。エアフローは、歯や歯ぐきを傷つけずに治療ができるため、着色を落とすおすすめの方法です。
エアフロー
ホワイトニング
ホワイトニングとは、黄ばんだ歯に薬剤を用いて白くする治療方法のことを指します。
着色している歯の汚れを落とすというよりは、本来の歯の色をより白くするというイメージです。
ホワイトニングには大きく分けて、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの2種類があります。オフィスホワイトニングは、歯科医院で行うホワイトニングのことで、ホームホワイトニングは、歯科医師または歯科衛生士から指導を受けて自宅で行うホワイトニングのことです。
なお、ホワイトニングを受ける前に歯石を除去しておくと、ホワイトニングの効果にムラが出にくくなります。
ホワイトニング
まとめ:頑固な着色は歯科医院のクリーニングで定期的なお手入れを
歯の着色を防ぐためには、口内に色素成分を長時間留めないよう、こまめな水分補給やうがい、正しい歯磨きなどのセルフケアが大切です。
加えて、定期的に歯科医院に通い、PMTCやエアフローでこびりついた着色汚れを落としてもらうとよりキレイな歯を保つことができます。
着色の原因になるコーヒーなどの色素の濃い飲食物を控えるのも一つの手です。しかし、好きなものを我慢するとかえってストレスを感じてしまう場合もあるため、おすすめできません。
食べる・飲むを我慢するよりも、普段のセルフケアと歯科医院での定期メンテナンスで、歯の着色を防いでみてはいかがでしょうか。