歯石が付く原因と理由

  1. はじめに
  2. 歯石って何?
  3. どうして歯石ができるのか?
  4. 歯石があると何が悪いの?
  5. どうやって歯石を取り除くか?
  6. 歯石ができないように自身ですべきこと
  7. まとめ

はじめに

「歯に歯石がついています」と指摘を受けたことのある方も多いと思います。歯石が付着するのはどうしてなのでしょう。また、歯石があるとどのような悪影響があるのでしょうか。
今回は、そんな疑問に解説します。

歯石って何?

歯石とは文字通り、歯に付着した石のことです。当然ですが、「石」と言っても駐車場や公園に落ちている石がそのままついている訳ではありません。
色々な要因が重なることで、歯に石が作られるといった方が正しいです。イメージとしては鍾乳石と同じです。

長い時間がかかることで、少しずつですが着実に石が積み重なり、遂には、目に見えるようにまでなってしまいます。このように歯石は長い時間をかけて、なおかつ誰にでもできるものです。

「歯石」と一口に言っても実は2つの種類が存在します。「歯肉縁上歯石」と「歯肉縁下歯石」です。患者さまに説明する時は「歯の表面についている歯石」と「歯茎の中にある歯石」という場合が多いような気がします。これは、歯石の解剖学的な付着位置によって異なります。歯と歯茎の間には「歯肉溝」と呼ばれる溝があります。

歯肉溝はいわゆる「ポケット」と呼ばれるものです。この歯周ポケットの中にある歯石を「歯肉縁下歯石」、これよりも上にある歯石を「歯石縁上歯石」と分類しています。一般に歯肉縁下歯石は深い部分に存在するため、器具が到達しにくく、直視できないという特徴があります。

歯石は2つに分かれ、生じる場所が異なるため、処置もそれぞれ異なります。

どうして歯石ができるのか?

それでは、歯石はなぜできるのでしょうか。

歯石はプラークが石灰化し、結晶化を呈したものです。その構成要素は、70~80%がカルシウムやリン酸などによって構成される無機塩です。

歯肉縁上歯石は、唾液中に含まれるカルシウム分やリン酸成分が原因となり、歯の表面に付着したプラークが石灰化し、結晶構造をなすことで沈着します。

このように歯肉縁上歯石は、プラークに唾液が作用することで生じます。したがって、乳白色を呈し、比較的柔らかいという性質を持ちます。
また、歯肉縁上歯石がよく生じる部位は、口の中の唾液腺出口の近くにある歯によく生じます。唾液腺は文字通り、唾液を生成する組織です。唾液腺は大きく大唾液腺と小唾液腺2つに分類されます。

皆さんのお口の中には多くの小唾液腺が存在します。唇、頬粘膜、上顎の粘膜、軟口蓋部分など至る所に小唾液腺は無数に存在しますが、大唾液腺は3つしかありません。その3つとは、①耳下腺、②顎下腺、③舌下腺です。

それぞれ、耳下腺は耳の近く、顎下腺は顎の下、舌下腺は舌の下に存在する唾液腺です。比較的大きな組織であるため、最大の唾液生成能力を有しています。この3つの唾液腺には出口があり、耳下腺は上顎第一大臼歯付近の頬粘膜に、顎下腺・舌下腺は途中で合流し、下顎の前歯の裏側に出口が開口し、そこから唾液が口の中に流入します。

つまり歯肉縁上歯石は唾液腺の開口部によく生じるため、上顎の第一大臼歯のほっぺた側や下顎の前歯の裏側に非常にできやすいという特徴があります。

一方で、歯肉縁下歯石は歯肉溝内に残ったプラークが結晶化したものです。

ポケット内部には歯肉溝滲出液に含まれるカルシウムやリン酸によりプラークが石灰化し、沈着します。この歯肉溝浸出液は、血液が由来となるため、歯肉縁上歯石とは異なり、鉄分や血液成分を含みます。このため、歯肉縁下歯石は黒色または茶褐色で、深い歯周ポケットに近接する歯の根っこの部分にこびりついているという特徴があります。つまり、歯肉縁下歯石は深い歯周ポケットのある歯、歯周炎が進行してしまった歯に沈着しています。

一見すると、歯周ポケットがあるため、歯肉縁上歯石と違い直視することはできません。このため、見過ごされがちなのが歯肉縁下歯石です。また、歯周ポケットの深い部分にはより多くの歯肉溝滲出液が存在するため、歯肉縁下歯石ができやすい環境が整い、深い歯周ポケットが存在する頻度が極めて高くなります。そのうえ、非常に強固に歯の根っこに付着しているため、除去が困難です。

このように2種類の歯石によって、プラーク(歯の汚れ)が石灰化してしまうという共通点もあれば、石灰化するためのカルシウム分の供給源として唾液と歯肉溝滲出液という違う点も存在するということをご理解いただけたでしょうか。また、できている部分や硬さが異なるため、それぞれ異なったアプローチが必要になります。

歯石があると何が悪いの?

ここまで歯石がどうやってできるのかであったり、どんな場所にできやすかったりを知ることができたと思います。歯石はただの石であるのに、一体なぜ歯石がついていることが良くないことなのでしょうか。これについて理解を深めていきましょう。

そもそも歯石は、前述の通り、歯に付着した汚れ(プラーク)が唾液や歯肉溝滲出液に含まれるカルシウムなどの無機物によって固まったものです。したがって、歯石そのものに病原性はありません。つまり、歯石があるからといって、虫歯や歯周病などの口の中の病気になるわけではありません。

しかしながら、歯石を顕微鏡レベルで観察すると非常に多孔質(たくさんの穴が開いている状態)です。また、粗造、ざらざらした形態をしています。それに加えて、歯石は形態が不規則であり、いびつな形をしているため、細菌が引っ付きやすく、なおかつ育ちやすい環境であり、プラークが付着しやすくなってしまいます。

虫歯とプラークコントロール

どうやって歯石を取り除くか?

次に、歯石を取り除くにはどのような治療が行われるのか説明します。歯石は歯に強固に沈着しているため、歯ブラシなどのホームケアで取り除くことはまず不可能です。そのため、歯科医院で専門的な道具を用いて、除去しなければなりません。歯石取りには一般的にスケーラーと呼ばれる手用の道具を用います。

歯肉縁上歯石は鎌形のスケーラーまたは超音波スケーラーと呼ばれる水とともに歯石を除去する道具を用いて取り除きます。

一方で、歯肉縁下歯石では、一般的に超音波スケーラーは届かないため、手用スケーラーを用いて除去するのが一般的です。歯肉縁下歯石の除去を「スケーリング・ルートプレー二ング(SRP)」と言います。このSRPは歯肉縁下歯石と併せて汚染された病的組織も除去し、歯根の表面を滑沢にする処置です。これにより、プラークがより付着しにくい状態に改善し、ホームケアをすることでより簡単に患者さま自身での清掃がしやすいようにすることが期待できます。

このように、歯石が沈着してしまうと歯科医院での専門的な治療が必要になります。

歯のクリーニング

歯のクリーニングのコツ:歯科医院編

歯石ができないように自身ですべきこと

最後に歯石が歯に沈着しないようにするためには、どのようにすべきか説明します。

歯石の生成には、プラークとカルシウムなどの無機物、2つの存在が必要です。このうち、患者さま自身あるいは歯科医院の受診によってコントロールできるのは、プラークの方です。

つまり、プラークコントロールを徹底することが最も重要な歯石の予防法になります。歯の磨き方、フロスや歯間ブラシを正しく使うために歯科医院を受診し、適切なケア方法の指導を歯科衛生士から受けることで、より清掃効果は高まるでしょう。歯並びやお口の形態は人によって様々です。一人ひとりに合う歯磨き方法を教えてもらうことが歯科医院で予防歯科を受ける最大のメリットです。

また、沈着してしまった歯石を早期の段階で除去することで、プラークコントロールがしやすい状態になり、歯周病が進行してしまうことの予防になります。

歯石は約2週間から1ヵ月ほどで沈着するため、歯石の早期発見や早期治療を行うことで、歯周病の発症や進行予防に大きく貢献することができます。予防歯科のために歯科医院に受診するメリットはこの他にもたくさんあります。辺縁の形があっていない被せ物や詰め物なども定期的に診察を受けることで、歯の欠けなどによって生じる不適合を発見することもできますし、レントゲンを撮影することで目視では見えない部分の詰め物の段差や虫歯を発見することができます。このように、予防歯科を定期的に受診することで、歯石以外の病気の早期発見・治療にも貢献することができます。

虫歯の予防

歯周病の予防

まとめ

成人が歯を失う原因は虫歯と歯周病です。歯石沈着によって症状が悪化するのは歯周病です。歯石を除去するためにも、歯石ができにくい口腔内の環境を作るためにも歯科医院を受診し、予防処置を行うことは非常に価値の高いことです。自分では習得できない歯磨きの方法も丁寧に指導されるため、自分の歯を残すために最も有効な手段であると言えるでしょう。

歯石がついていないか気になる人も、自分のブラッシング方法に自信がない人も是非とも一度歯科医院を受診して、健康資産を高める第一歩を踏み出してみませんか? 皆さんが予防歯科に興味を持っていただけたらと思います。ご来院を心よりお待ちしております。

総合的な歯科検診の
ご相談・ご予約はこちらから

TOP
初めての方へ
当院の特徴
料金表
よくあるお悩み
ドクター紹介
診療案内
口臭
症例
アクセス
お問い合わせ
WEB予約

©️ 秋津駅前すぐの歯医者・秋津歯科・矯正歯科

・平日 8:30-17:00 ・初診最終受付16:00
・土  8:30-17:00 ・再診最終受付16:30
休診日:水・日・祝