世界中で急激に増加している糖尿病。
糖尿病とは、食べたものから分解された糖分が、体内に吸収されにくくなり、
血液中に糖分が溜まってしまう状態(高血糖)が続く病気で、2011年時点で
世界の人口約70億人中、糖尿病と推定される人は約3億6600万人と言われています。
生活習慣病の代表である糖尿病の患者は、
潜在的患者を含めると1600万人以上いると言われています。
その原因の主なものは、
高カロリーの食事の摂りすぎと運動不足による肥満とされています。
糖尿病で高血糖状態が続くと、体の中の防御反応が低下して、
感染症にかかりやすくなるといわれています。
細菌感染を原因とする歯周病についても同様であり、糖尿病の人は、
糖尿病でない人に比べて、中程度あるいは高度の歯周病になる頻度が
2~3倍高く、また歯周病の進行が早く、治るのも遅くなります。
歯周病は歯のプラークに細菌がたまることにより発症して、人間の体の免疫力を低下させます。
免疫力が低下するとインスリンの働きが悪くなり血糖値が高くなってしまいます。
血糖値が高い状態が続くと糖尿病を発症するリスクが高くなります。
また、既に糖尿病になっている人は症状が悪化して合併症のリスクが高まります。
このように、歯周病が原因で血糖コントロールができない状態になることがありますので注意が必要です。
歯周病は糖尿病の第6の合併症といわれているように、
糖尿病患者では歯周病の発症や進行のリスクが高い事が分かっています。
歯周病により、ハグキの中で作り出される炎症性物質は、
血液を介して血糖をコントロールするホルモンであるインスリンの働きを
妨げ、免疫機能の低下などが起こり、歯周病原菌に感染しやすく、
組織の破壊が起こりやすくなるためだと考えられています。
歯周病の歯周治療を行うことで、
インスリン抵抗性が改善することなどが報告されており、
糖尿病の血清コントロールに歯周治療が重要であることが、認識されています。
糖尿病の早期段階では自覚症状が乏しく、自分では糖尿病だと気がつかないことがすくなくありません。
そのためか、糖尿病の疑いが強い人は約740万人もいるのに、
治療を受けている人は約半数というのが現状です(平成14年糖尿病実態調査より)。
糖尿病が歯周病へ悪い影響を与える場合もあります。
糖尿病になると歯の周辺の免疫力が低下しますので、歯周病菌に感染しやすくなるのです。
これは血管の障害や代謝の異常により歯ぐきの組織が破壊されやすくなるためだとされています。