「入れ歯を何度も作り直しているのに、どうしても合わない」、「もしかして、自分は入れ歯に向いていないのでは…」
このようなお悩みを抱えて、当院に相談に来られる方は少なくありません。
そして多くの方が、「もうこれ以上よくならないのでは」と半ば諦めた気持ちで来院されます。
ですが、入れ歯が合わないのには必ず理由があります。
そして、その理由を正しく見極め、順を追って改善していけば、「噛める」、「外れない」、「痛くない」入れ歯に近づけることは十分可能です。
入れ歯治療で最も重要なのは、診査と、それに基づいた治療計画です。
「入れ歯は型を採ればできるものではないの?」
そう思われる方も多いと思います。
もちろん、型取りは必要不可欠です。
しかし実際には、「どんな入れ歯を、どの手順で作るのか」を考えずに型を採っても、本当に合う入れ歯にはなりません。
当院では、以下のような点を総合的に診査します。
粘膜の厚みや硬さ、形、現在使っている入れ歯による傷や圧痕を確認します。
この診査結果によって、型採りの方法・入れ歯のデザインそのものが変わります。
上顎と下顎の位置関係を確認します。
骨格によって歯並びや噛み合わせには特徴があり、骨格と入れ歯を調和させる必要があります。
顎関節の動きは噛み合わせと密接に関係します。
総入れ歯の患者さんでは、約7割の方に、何らかの顎関節の問題があると報告されています。
顔の輪郭と前歯の形には相関があるとされています。
見た目の自然さを考える上でも重要なポイントです。
姿勢が変わると頭の位置が変わり、
噛み合わせにも影響を及ぼします。
舌の位置や緊張の強さは、入れ歯の安定性に大きく関わります。
入れ歯は、筋肉と調和してはじめて安定します。
筋肉の緊張が強い場合には、リハビリにより筋肉の緊張を和らげる前準備が必要なことがあります。
「なぜ合わなかったのか」を知るために、これまでの入れ歯を診ることは非常に重要です。
部分入れ歯の場合、残っている歯の状態・位置関係などが治療計画を大きく左右します。
入れ歯が合わない、といって歯医者に行くと必ず入れ歯を削られませんか?
その時は良くなるけれど、また別の場所が痛くなる。そんなことを繰り返していませんか?
入れ歯が合わない原因を突き止めず、「痛いところを削る」「当たるところを削る」を繰り返しても、本当に安定する入れ歯にはなりません。
入れ歯が痛いのは機能時、噛んだときに動いて、ある一点が強くあたり、そこが傷になるからです。削るを繰り返している入れ歯は、実はガタガタな状態になっていることがほとんどです。
そして、そのように調整された長年合わない入れ歯を使い続けている場合は要注意です。
無意識のうちに、下記といった状態になっていることが多いからです。
そのような場合、いきなり最終的な入れ歯を作っても、「また合わない」という結果になってしまいます。
「すぐに新しい入れ歯を作らない」のには理由があります。
それは、お口が“正しく噛める状態”になってからでないと、良い入れ歯は作れないからです。
何度作ってもうまくいかない方は、いわゆる「難症例」に分類されます。
こうしたケースほど、原因を一つずつ紐解いてから治療を進めることが重要になります。
入れ歯は粘膜の上で機能しますが、噛んだときに粘膜は押され、形が変わります。
そのため、噛んだ状態に近い形を再現する「機能的な動的印象」が重要です。
リハビリにより顎の位置が安定すると、噛み合わせの記録が採りやすくなります。
噛み合わせのズレた入れ歯は噛むたびに動いてしまい、痛い・合わない入れ歯になります。
噛む力や筋肉の強さは人それぞれ異なります。
そのため、入れ歯の材料は画一的に選ぶことはできません。
入れ歯は歯科医師だけでは完成しません。
歯科技工士の技術があってこそ成り立ちます。
デジタル技術を利用した入れ歯作りも可能になってきましたが、現在でも歯科技工士の匠の技は不可欠だと感じています。
どれだけ精密に作っても、最終調整は必ず必要です。新しい入れ歯の調整は「削る」作業です。
削りすぎれば合わない入れ歯、振り出しに戻ってしまいます。慎重かつ的確な調整が求められます。
「何度作っても合わない入れ歯」は、決して珍しいものではありません。そして、それはあなたのせいではありません。
原因を正しく見極め、段階を踏んで治療すれば、今よりずっと快適な入れ歯を目指すことは可能です。
「どこに行っても入れ歯が合わない」、「噛めない・痛い・外れる」そのようなお悩みがある方は、一度ご相談ください。
あなたのお口の状態を丁寧に診査し、あなたのお口の状態に合った、最適な治療プランをご提案いたします。